アマミヒラタヒシバッタ

Austrohancockia amamiensis Yamasaki, 1994 

ヒシバッタ科 

体長・15mm程度 

分布・奄美大島 

環境省レッドカテゴリ・情報不足

全身が茶褐色のゴツゴツしたバッタで、小型種ながら独特の存在感がある。奄美大島の固有種で、沖縄本島には近似種オキナワヒラタヒシバッタA. okinawaensis Yamasaki, 1994が分布する。

ヒシバッタ類は日本に多数の種が知られるが、おおむねどの種も名前の如く「ひし餅」のような体型をしている。しかし、本種は背中が左右へ大きく板状に張り出すという特徴がある。体長1cm程度の種ばかりの日本産ヒシバッタ類の中にあって、破格の大型種であることも手伝い、たいそう奇怪な生物に見えてしまう。オキナワヒラタの方も背中が左右に張り出すが、こいつほどではない。

鬱蒼とした森林地帯に生息する。地べたで見つかることもあれば、立ち枯れた樹幹の目線の高さくらいの所に止まっているのを見かけることもある。落ち葉の溜まった森を歩くと、ふいに足下からジャンプするので存在に気づく。大型で体が重いせいか、あまり長距離をジャンプすることができない。他のヒシバッタに比べて、飛ばれたときに見失うことが少ない印象。

生態の詳細に関しては、誰かが調べたという報告を聞かないので不明。一般的なヒシバッタ類の生態から考えれば、林床に溜まった落ち葉を食っているのだろう。湿潤な森林地帯が温存されるのであれば、彼らの存続は今後も安泰と思われる。


※引用文献

後日追加。

精霊の庵 - 無名の絶滅危惧昆虫

環境省レッドリストに掲載された、800種余りの絶滅危惧昆虫たち。そのうち過半数を占めるのは、小さくて地味で取るに足らない外見のハエ、ハチ、カメムシ、ガ、ハナクソサイズの甲虫など。図鑑にさえしばしば載らず、一般に存在も知られぬまま滅び行く、小さき者達の集う場所。