ハリサシガメ

Acanthaspis cincticrus Stål, 1859

サシガメ科 

体長・15mm弱 

分布・本州、四国、九州、中国大陸、朝鮮半島、東南アジア 

環境省レッドカテゴリ・準絶滅危惧 

成虫は全身黒っぽい。前翅にはややピンクがかった細い斑紋が目立つ。脚は黒と白のまだら模様。背中(小楯板)からは一本のトゲがそそり立つ。

手近な場所にいる他の小動物に素早く飛びついて捕食するハンターだが、特にアリ類を嗜好する。口吻による毒液の注入は、ことにアリ類に対して素晴らしい効き目を発揮し、捕まったアリはわずか数秒で昏倒するほど。

本種の幼虫は全身を土砂やゴミで覆い、カモフラージュする。また、獲物として捕食した後のアリの死骸を、次々に背負う奇習で知られる。

若齢期に比べ、終齢期の幼虫はアリの死骸をあまり背負わなくなるように思う。

本種に関しては、「絶滅危惧の地味な虫たち」(ちくま新書)に既に詳しく書いた。

精霊の庵 - 無名の絶滅危惧昆虫

環境省レッドリストに掲載された、800種余りの絶滅危惧昆虫たち。そのうち過半数を占めるのは、小さくて地味で取るに足らない外見のハエ、ハチ、カメムシ、ガ、ハナクソサイズの甲虫など。図鑑にさえしばしば載らず、一般に存在も知られぬまま滅び行く、小さき者達の集う場所。