ヒメアギトアリ
Anochetus shohki Terayama, 1996
体長・4mm前後(働きアリ)
分布・南西諸島(宮古島、石垣島)
環境省レッドカテゴリ・ 準絶滅危惧
全身が赤黒く、腹部はより暗色。脚の色はより薄い。大顎は前方に突き出し、先端には3つの歯がある。日当たりのよい荒れ地に生息し、石下などに小規模なコロニーを構える。
コロニー創設段階の巣。女王が一匹で子育てしていた。このアリが生息しているのは、海岸近くの草原やサトウキビ畑脇の農道など、乾燥していておよそ他の昆虫がいなさそうに見える環境。石垣島では極めて普通種なのだが、虫マニアが目を大して向けない環境にいるせいでなかなか発見されず、世間では希少なように勘違いされている。
肉食性で、他の小動物を襲って食う。大顎は180度開き、その状態で固定できる。こうして地雷探知機の如く、頭を振りながら地面を徘徊する。大顎の付け根からは1対のフィラメントが前方に向かって生えており、これに何かが触れると反射的に大顎が高速で閉じる。哀れな獲物は瞬時に大顎のはざまに串刺しにされ、さらに腹端の毒針でとどめを刺されて巣へと連行される。
少なくともアリを調査してきた身から言わせて貰えば、本種はまったく希少種とは呼べない。こんなものより、遙かに絶滅の危ぶまれる種のアリはいくらでもいる。なぜ未だレッドリストに載せられ続けているのか、理解できない種。
本種に関しては、「絶滅危惧の地味な虫たち」(ちくま新書)に既に詳しく書いた。
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