ゴミアシナガサシガメ

Myiophanes tipulina Reuter, 1881 

サシガメ科 

体長・16-17mm 

分布・本州(三宅島含む)、四国、九州、朝鮮半島、中国大陸、オーストラリア 

環境省レッドカテゴリ・ 絶滅危惧II類 

全身が褐色で、著しく細身。脚も触角も極めて長く、脚には斑模様がある。その模様は、カマ状に発達した前脚において特に顕著。全体的に、モジャモジャした細毛に覆われており、それにはしばしば大量のゴミクズが絡まっている。

カマキリとアメンボが合体したような、奇妙な姿のカメムシ。捕食性なのは確かだが、何を餌にしているのかはまだはっきりとしない。海外の近縁種で、クモの網に侵入してクモを捕らえる生態が知られているため、これに準じた生態を持つかも知れない。

典型的な里山の昆虫で、人家やその周辺の田畑、草むらに生息する。かつては古い民家の納屋などで、さほど珍しくなかったらしい。今ではそうした環境がなくなってきたため、見かける機会が極端に減り、数年に一度しか発見されないような生物となりはてた。

私は西日本のとある岩山で、この精霊が確実に複数個体見られる場所を見つけている。日没後、岩の裂け目から表に這い出してくるため、日本各地にあるそのような環境を夜間に調べれば、意外と多くの生息地がこれから見つかるのではないか。


※引用文献

後日追加。

精霊の庵 - 無名の絶滅危惧昆虫

環境省レッドリストに掲載された、800種余りの絶滅危惧昆虫たち。そのうち過半数を占めるのは、小さくて地味で取るに足らない外見のハエ、ハチ、カメムシ、ガ、ハナクソサイズの甲虫など。図鑑にさえしばしば載らず、一般に存在も知られぬまま滅び行く、小さき者達の集う場所。