ツヤミカドオオアリ

Camponotus amamianus Terayama, 1991 

アリ科 

体長・7-13mm(働きアリ)

分布・九州(奄美大島)

環境省レッドカテゴリ・情報不足 

大型のアリで、体表面が漆を塗ったようにつややか。脚や触角を含め全身がほぼ漆黒だが、多少赤みのさす個体もいる。世界でも、日本の奄美大島だけで見つかっている種で、一番近縁な種は中国大陸に分布する。生物地理学的に見て、興味深い分布様式を示す種といえる。なお、生息地でこれと一見してサイズ・姿形の紛らわしい種は他にいない。

昼なお暗い照葉樹林帯に生息する。あまり標高の高い場所では少なく、人里近くの裏山で遭遇頻度が高い。樹上営巣性で、大木幹上の朽ちた部分などに巣を構える。日中出歩くこともあるが、圧倒的に夜間において行動が活発となる。働きアリは地面・樹上の別なく徘徊し、動物質・植物質問わず様々なものを餌にする。

働きアリには大型のものと小型のものがおり、前者の野外で見かけた際の存在感はすさまじい。冬季には活動が鈍るようで、夏期に多かった場所に夜間出かけても姿をほとんど見かけない。


おそらく、奄美大島の固有種ゆえ希少性が高いと判断されてレッドリスト入りしたものと考えられるが、実のところ生息地での個体数は多く、決して稀なものではない。


※引用文献

後日追加。

精霊の庵 - 無名の絶滅危惧昆虫

環境省レッドリストに掲載された、800種余りの絶滅危惧昆虫たち。そのうち過半数を占めるのは、小さくて地味で取るに足らない外見のハエ、ハチ、カメムシ、ガ、ハナクソサイズの甲虫など。図鑑にさえしばしば載らず、一般に存在も知られぬまま滅び行く、小さき者達の集う場所。