アマミシリアゲ

Panorpa amamiensis Miyamoto et Makihara, 1984 

シリアゲムシ科 

前翅長・11-14mm 

分布・奄美大島 

環境省レッドカテゴリ・情報不足 

小型のシリアゲムシの一種で、薄い褐色の胴体、模様らしい模様のない翅を持つ。顔面は黄色みが強い。世界でも奄美大島にだけ分布する。隣の徳之島にも、これに外見の酷似したシリアゲムシが分布しているが、これは近年になり別種トクノシマシリアゲP. tokunoshimaensis Nakamura, 2009として新種記載された。

成虫は春に出現し、鬱蒼とした森の縁にある、ちょっと開け気味の場所で見られることが多い。下草の葉上にたたずんでおり、脅かすと、短い距離を力なく飛び、すぐ着地する。弱った昆虫やその死骸など、手の届くところにある動物質のものは何でも餌にするようだ。こうした食性は、シリアゲムシの仲間全般に見られるものである。


生息地ではウジャウジャいるイメージはないものの、割と普通にいるもので、珍しくはない。固有種だからといって、明日にも絶滅するようなものばかりとは限らない一例。ただし、翅を持つわりに移動能力が著しく低いため、現在の生息地が開発等により消失すれば、余所へ避難する術もなく死に絶えるかもしれない。


※引用文献

後日追加。

精霊の庵 - 無名の絶滅危惧昆虫

環境省レッドリストに掲載された、800種余りの絶滅危惧昆虫たち。そのうち過半数を占めるのは、小さくて地味で取るに足らない外見のハエ、ハチ、カメムシ、ガ、ハナクソサイズの甲虫など。図鑑にさえしばしば載らず、一般に存在も知られぬまま滅び行く、小さき者達の集う場所。