ヤホシホソマダラ

Balataea octomaculata (Bremer, 1861) 

マダラガ科 

開長・20mm前後 

分布・本州、四国、九州 

環境省レッドカテゴリ・準絶滅危惧

小型のガで、前翅は黒地に黄色く丸みを帯びた斑紋を散らし、後翅は半透明。胴体は青い金属的な鱗粉をまとい、美しい。成虫は初夏から出現し、主に河川敷など開けていて多少湿気のある草原で見られることが多い。日中に活動し、各種の花を訪れて吸蜜する。なお、ガの仲間でチョウのように昼間活動する種は非常に多く、別段変わったことではない。

幼虫は全身が長い剛毛に覆われた毛虫で、ササ類やタケ類の葉を餌にすることが知られる。毒を持ち、触るとかぶれるという説があるが、実際に触ってどうにかなったという症例をなかなか見出せない。私自身も試したことがないので、判然としない。

探せば意外に身近な所で見つかるガだが、どこでも基本的に多いものではない。ありふれた植物を拠り所とする割に、見られる場所は限られる。

近似種キスジホソマダラB. gracilis gracilis (Walker, 1865)。ヤホシに似るが、黄色の紋がスジ状に細い。ヤホシ同様、草原環境に見られることが多いが、こちらの方がやや高標高で涼しい気候を好むように思える。


※引用文献

後日追加。

精霊の庵 - 無名の絶滅危惧昆虫

環境省レッドリストに掲載された、800種余りの絶滅危惧昆虫たち。そのうち過半数を占めるのは、小さくて地味で取るに足らない外見のハエ、ハチ、カメムシ、ガ、ハナクソサイズの甲虫など。図鑑にさえしばしば載らず、一般に存在も知られぬまま滅び行く、小さき者達の集う場所。