コウライピソン(コウライクモカリバチ)

Pison koreense (Radoszkowski, 1887) 

ギングチバチ科 

体長・7-8mm 

分布・本州 

環境省レッドカテゴリ・情報不足 

全身黒っぽい、小さくて地味なハチ。顔面を正面から見ると、複眼の内側は真ん中付近で大きくえぐれ、勾玉のような形に見える。ピソンの仲間は国内に数種いるが、その中で唯一前翅の肘室(翅脈同士で囲われた空間)が2部屋の種。日本産他種は全てこれを3部屋持つ。

クモカリバチとも呼ばれるピソン属のハチ達は、その名の通りクモを狩り集めて自身の幼虫の餌とする狩人蜂だ。

成虫は夏期に出現する。メスは単独で営巣し、泥で精巧な繭玉状の巣を作る。巣は民家の壁面などに作られる事が多い。湿った地面に降り立って、小さな泥の塊を囓り取っては営巣場所に運ぶ。ある程度巣が完成すると、そこに毒針で麻痺させたクモを搬入し、自身の卵とともにこれを封印する。巣が一つ完成すると、それに併設して複数個の巣を同様に完成させる。

記録が散発的で少ないため、希少種として扱われているようだ。環境省レッドのほか、複数の都道府県版レッドにも名を連ねている。ただ、とにかく小さくて目立たない上、マニアがこぞって探す類の虫でもないため、実際には意外と各地で普通に生息していることに、単に我々が気づいていないだけなのかも知れない。


※引用文献

後日追加。


精霊の庵 - 無名の絶滅危惧昆虫

環境省レッドリストに掲載された、800種余りの絶滅危惧昆虫たち。そのうち過半数を占めるのは、小さくて地味で取るに足らない外見のハエ、ハチ、カメムシ、ガ、ハナクソサイズの甲虫など。図鑑にさえしばしば載らず、一般に存在も知られぬまま滅び行く、小さき者達の集う場所。