イチモジヒメヨトウ

Xylomoia fusei Sugi, 1976 

ヤガ科 

開長・30mm程度 

分布・本州 

環境省レッドカテゴリ・絶滅危惧Ⅱ類 

全身が薄い茶褐色の、見るからにぱっとしない小型のガ。個体により、地色に赤みが強く出たりと、多少の色彩変異がある。前翅中央の少し下側に、ローマ数字の「Ⅰ」に似た黒い紋が浮かび上がる。一文字の名の縁だ。後翅は一様にごく薄い褐色で、模様らしい模様はない。

平地の開けた湿地帯、池や河川敷脇の草原などに生息する。成虫は年一回、初夏に出現するが、一つの生息地内での発生期間は割と早く終わってしまう。夜行性で、日没後しばらくすると活動を開始する。小型ゆえに飛翔は素早く、暗闇でライトを当てて跡を追ってもすぐ見失ってしまう。

食草としてはツルヨシなど、イネ科の草本植物が知られている。幼虫は、これら植物の茎内に食い入り、内部を食って成長する。

生息地では、時期を外さなければまあまあ見られる種だが、湿地環境の消失に伴い、各地で減っているとされる。各地都道府県版レッドリスト上にも、名を連ねる常連となってきている。一方で、この種が特に保護されているという話を往々にして聞かない。


※引用文献

後日追加。

精霊の庵 - 無名の絶滅危惧昆虫

環境省レッドリストに掲載された、800種余りの絶滅危惧昆虫たち。そのうち過半数を占めるのは、小さくて地味で取るに足らない外見のハエ、ハチ、カメムシ、ガ、ハナクソサイズの甲虫など。図鑑にさえしばしば載らず、一般に存在も知られぬまま滅び行く、小さき者達の集う場所。