カワラハンミョウ

Cicindela laetescripta (Motschulsky, 1860) 

オサムシ科 

体長・14-17mm 

分布・北海道、本州、四国、九州、伊豆大島、中国大陸、シベリア 

環境省レッドカテゴリ・絶滅危惧ⅠB類 

頭部と胸部は銅色で、胸部背面には白い毛が密生する。上翅は白く、まるでアンパンマンのバタ子の骨格を思わせる黒緑色の不可思議な模様がある。この模様の出方には変異がある。

河川敷や砂浜海岸など、開放的な砂地の広がる環境に限って生息する。砂地のみでなく、ある程度草がまばらに生えていることが重要。成虫は夏に出現し、水辺からやや離れた草地で見かけることが多い。炎天下をもろともせず、灼熱の砂上を軽やかに駆け回り、他の生物を捕食する。幼虫は、まばらな草地の地中に穴を掘って住む。

白い砂地に生息する個体群は、上翅が全体的に白っぽくなる。反面、伊豆大島では黒い火山灰の堆積した荒れ地に生息するが、ここの個体群は背景に合わせるかのように上翅が黒っぽくなる。

自然の砂浜海岸の減少、防災目的の河川改修により、国内からは尽く生息地が失われていった。特に内陸部の河川敷に生息していた個体群は、国内からは恐らく完全に絶滅しており、現在まともに存続している個体群は軒並み海岸部のみの分布となってしまっている。もはやカワラハンミョウではなくハマベハンミョウである。


※引用文献

橋村正雄、丸山宗利(2015) カワラハンミョウ。環境省編 レッドデータブック2014 5。ぎょうせい、東京。pp.85.

精霊の庵 - 無名の絶滅危惧昆虫

環境省レッドリストに掲載された、800種余りの絶滅危惧昆虫たち。そのうち過半数を占めるのは、小さくて地味で取るに足らない外見のハエ、ハチ、カメムシ、ガ、ハナクソサイズの甲虫など。図鑑にさえしばしば載らず、一般に存在も知られぬまま滅び行く、小さき者達の集う場所。