ツリフネソウトラガ

Sarbanissa yunnana (Mell, 1936)

ヤガ科 

開長・36-38mm 

分布・九州、中国大陸 

環境省レッドカテゴリ・ 準絶滅危惧

前翅には、青や赤、白からなるゴチャゴチャした複雑な模様が出る。下翅は黄色で、外縁に黒い帯が出る他、翅の真ん中あたりと下側に二つの丸い黒紋も出る。近似種に瓜二つの外見をしたベニモントラガS. venusta (Leech, [1889])がいるが、下翅の付け根近くにうっすらと黒い鱗毛を装うことで区別可能。また、ベニモンの食草がブドウ科のノブドウなのに、その名の通りツリフネソウ科のツリフネソウ類であるのも異なる。

成虫は夏期に2回発生する。九州中部の草原地帯に限って分布する珍種。利用可能な食草が限られている上、生息地では開発などの影響で食草群落が衰退しつつある。


※引用文献

岸田泰則(2015) ツリフネソウトラガ。環境省編 レッドデータブック2014 5。ぎょうせい、東京。pp.448.

精霊の庵 - 無名の絶滅危惧昆虫

環境省レッドリストに掲載された、800種余りの絶滅危惧昆虫たち。そのうち過半数を占めるのは、小さくて地味で取るに足らない外見のハエ、ハチ、カメムシ、ガ、ハナクソサイズの甲虫など。図鑑にさえしばしば載らず、一般に存在も知られぬまま滅び行く、小さき者達の集う場所。