アイヌハンミョウ

Cicindela gemmata aino Lewis, 1891 

オサムシ科 

体長・17mm程度 

分布・北海道、本州、四国、九州、対馬 

環境省レッドカテゴリ・準絶滅危惧 

全身が鈍い赤銅色で、上翅には白い斑紋が出るが、この紋の出方には個体変異が大きい。胸部背面は白い毛でまばらに覆われる。正面顔を見ると、白い上唇が台形をしている。オスは大顎先端部がヘラ状に平らになる。ぱっと見そっくりな近縁種ミヤマハンミョウC. sachalinensis Morawitz,1862とニワハンミョウC. japana Motsculsky,1857がいるが、前者は顔面を正面から見ると、上唇が台形ではなくオニギリ様の逆三角形をしている。後者は胸部背面に白い毛をまとわない点で区別可能。

いかにも北海道らしい名を冠しながら、国内での分布域は九州まで広域に及ぶ。河川敷など、砂礫質の開けた地面が広がる環境に生息する。成虫は春のみ活動し、日中に地表を素早く駆け回っては、居合わせた他の小動物を凶悪な牙で八つ裂きにして食う。

生息地ではしばしば個体数は多いが、その生息地は局所的に点在する傾向にある。定期的に氾濫が起きて地面が洗い流され、草が繁りすぎない状態が維持された環境が生息に必須らしい。河川改修で生息地が消滅するのはもちろん、逆に攪乱がされなさすぎても本種は生息しにくくなってしまう。


※引用文献

後日追加。

精霊の庵 - 無名の絶滅危惧昆虫

環境省レッドリストに掲載された、800種余りの絶滅危惧昆虫たち。そのうち過半数を占めるのは、小さくて地味で取るに足らない外見のハエ、ハチ、カメムシ、ガ、ハナクソサイズの甲虫など。図鑑にさえしばしば載らず、一般に存在も知られぬまま滅び行く、小さき者達の集う場所。