アカガネネクイハムシ

Donacia hirtihumeralis Komiya et Kubota, 1987 

ハムシ科 

体長・9mm程度 

分布・本州 

環境省レッドカテゴリ・準絶滅危惧 

全身が赤銅色で、金属光沢を帯びる。触角と脚は金属光沢のない赤色。胸部表面は、肉眼ではよくわからないが細かい細毛で覆われている。

水辺に生息するネクイハムシと呼ばれるグループの一員で、成虫は年一回、初夏に出現する。食草はため池などの岸辺に生える抽水植物フトイ(イグサの一種)で、先端部の花に取り付いていることが多い。ネクイハムシの仲間は、草葉に止まっているときに下手に脅かすとすぐ下に落ちて逃げてしまう傾向が強いが、本種はすぐ逃げずにそのまま草葉にしがみつき続けることが多い。幼虫は、フトイの根を食っているらしい。

ネクイハムシの仲間の中でも、生息地が結構限られて狭い部類の種。ため池の埋め立てや水質汚染に伴い、生息地が失われることが危惧されている。しかし、外見上さほど悪化したように思えないかつての多産地が、現在ほぼ壊滅状態になっているという例もある。

また、本種に限ったことではないがネクイハムシ類は外見が煌びやかで、種内の色彩変異も豊富である。コレクション性が高いことから、小規模な生息地では虫マニアに過剰に採られすぎることも、生息上の脅威たりえるのではとの指摘がなされている。あまりそうは考えたくはないものだが。


※引用文献

後日追加。

精霊の庵 - 無名の絶滅危惧昆虫

環境省レッドリストに掲載された、800種余りの絶滅危惧昆虫たち。そのうち過半数を占めるのは、小さくて地味で取るに足らない外見のハエ、ハチ、カメムシ、ガ、ハナクソサイズの甲虫など。図鑑にさえしばしば載らず、一般に存在も知られぬまま滅び行く、小さき者達の集う場所。