ゴヘイニクバエ

Sarcophila japonica (Rohdendorf,1965) 

ニクバエ科 

体長・5-6mm 

分布・北海道、本州、九州、朝鮮半島、中国大陸、ロシア 

環境省レッドカテゴリ・ 絶滅危惧II類 

小型種で、全体的に灰色。背面には3本の縦線が走るが、はっきりしない。海浜植物の豊富な砂浜海岸に、局所的に生息する。こうした環境に生息する、本種と背格好の似たニクバエやヤドリバエの仲間は、翅に特徴的な斑紋があったり顔面が銀白色に輝くなど、顕著な外見上の特徴を持つ種が多い。そこへ来て、本種はそうした際立つ特徴がなく、ぱっと見「特徴がないのが特徴」のハエ。形態を精査すると、オスの交尾器形態にちゃんと顕著な特徴はあるのだが。

成虫は腐敗物に集まるが、幼虫がどこでどう育つかが今なお分かっていない。生息に適した砂浜海岸の減少により、各地で減っている。

本種に関しては、「絶滅危惧の地味な虫たち」(ちくま新書)に既に詳しく書いた。

精霊の庵 - 無名の絶滅危惧昆虫

環境省レッドリストに掲載された、800種余りの絶滅危惧昆虫たち。そのうち過半数を占めるのは、小さくて地味で取るに足らない外見のハエ、ハチ、カメムシ、ガ、ハナクソサイズの甲虫など。図鑑にさえしばしば載らず、一般に存在も知られぬまま滅び行く、小さき者達の集う場所。