ヨナクニウォレスブユ

Simulium yonakuniense Tokunaga, 1972 

ブユ科 

体長・5-6mm 

分布・南西諸島(与那国島)、台湾 

環境省レッドカテゴリ・ 絶滅危惧1B類 

幼虫はやや青みがかった体色をしている。頭部下面にはくさび型の切れ込み模様があり、少なくとも国内の生息地でこれと同じ特徴を持つ近似種は混在しない。また、蛹に生えるエラのフィラメントは4分岐し、これに関しても国内の生息地で同じ特徴の近似種はいない。

幼虫期は流水中に生息する。世界的にもきわめて狭い分布様式を示す貴重な種だが、全く保護されていない。河川環境の人為改変や、放たれた外来魚による捕食が生存上の脅威。

本種に関しては、「絶滅危惧の地味な虫たち」(ちくま新書)に既に詳しく書いた。

※引用文献

林利彦、大原賢二 (2015) ヨナクニウォレスブユ。環境省編 レッドデータブック2014 5。ぎょうせい、東京。pp.144.

精霊の庵 - 無名の絶滅危惧昆虫

環境省レッドリストに掲載された、800種余りの絶滅危惧昆虫たち。そのうち過半数を占めるのは、小さくて地味で取るに足らない外見のハエ、ハチ、カメムシ、ガ、ハナクソサイズの甲虫など。図鑑にさえしばしば載らず、一般に存在も知られぬまま滅び行く、小さき者達の集う場所。