ヨツボシカミキリ

Stenygrinum quadrinotatum Bates, 1873

カミキリムシ科 

体長・8-14mm 

分布・北海道、本州、四国、九州、南西諸島(奄美諸島まで)、東南アジア 

環境省レッドカテゴリ・絶滅危惧Ⅱ類 

全身赤っぽく、細身。上翅には2対、明るい黄色の紋が現れる。この紋は個体により、上下で融合する。

平地から山地にかけての雑木林に生息し、成虫は初夏に出現する。メスは各種広葉樹の、やや乾き気味の材に産卵する。成虫はクリの花に好んで集まることが知られている。

かつては日本各地でごく普通に見られたらしい。しかし、1960-70年代を境に全国同時多発的に激減し、今日では確実な生息地がほぼないような状態になっている。雑木林の減少、あるいは手入れされなくなって繁り過ぎてしまったことが、本種の激減に関係しているとの見方もある。しかし、本種と似たような生態を持つカミキリムシなど他にいくらでもいるのに、本種ほど劇的な減り方をした種はほとんどいない。なぜこの種だけがここまで減ったのか、原因が定かでない。


※引用文献

高桑正敏(2015) ヨツボシカミキリ。環境省編 レッドデータブック2014 5。ぎょうせい、東京。pp.140.

精霊の庵 - 無名の絶滅危惧昆虫

環境省レッドリストに掲載された、800種余りの絶滅危惧昆虫たち。そのうち過半数を占めるのは、小さくて地味で取るに足らない外見のハエ、ハチ、カメムシ、ガ、ハナクソサイズの甲虫など。図鑑にさえしばしば載らず、一般に存在も知られぬまま滅び行く、小さき者達の集う場所。