オオズウミハネカクシ

Liparocephalus tokunagai Sakaguti, 1944 

ハネカクシ科 

体長・5-6mm 

分布・本州、四国、九州 

環境省レッドカテゴリ・ 絶滅危惧ⅠB類

全身が赤茶色。太短い体形で、上翅は矮小化している。体に対して頭部が異様に大きく、特にオスで顕著。大顎は強大に発達している。

海岸性の甲虫で、海藻の多い岩礁地帯に限って生息する。満潮時には完全に水没する、磯の波打ち際ギリギリ辺りの海藻の根際に潜んでいる。満潮時は岩の隙間などに入り込んで、そこに溜まった空気で呼吸しつつやり過ごしているようで、干潮時にのみ活動する。

干上がった岩の表面を盛んに走り回り、弱ったヨコエビなど他の小動物に襲い掛かって食い殺す。春先に一番見かける個体数が多く、夏になると少なくなる。

本種の生息には、汚染されていない海水に常時洗われる磯海岸が必須である。そのうえ、隠れ家となる海藻が、波打ち際の岩の表面に豊富に生えていることが重要と見られる。よって、海洋汚染や磯焼けに伴う海藻類の減少は、彼らにとって致命的な打撃となる。かつて本州から知られていた生息地のほとんどは、現在壊滅状態。西日本のごくわずかな地域のみで、かろうじて命脈を保っている状況である。


※引用文献

丸山宗利(2015) オオズウミハネカクシ。環境省編 レッドデータブック2014 5。ぎょうせい、東京。pp.126.

精霊の庵 - 無名の絶滅危惧昆虫

環境省レッドリストに掲載された、800種余りの絶滅危惧昆虫たち。そのうち過半数を占めるのは、小さくて地味で取るに足らない外見のハエ、ハチ、カメムシ、ガ、ハナクソサイズの甲虫など。図鑑にさえしばしば載らず、一般に存在も知られぬまま滅び行く、小さき者達の集う場所。