セアカオサムシ

Carabus (Hemicarabus) tuberculosus Dejean, 1829 

オサムシ科 

体長・2cm前後 

分布・北海道、本州、四国、九州、中国大陸、朝鮮半島、ロシア、カザフスタン、モンゴル 

環境省レッドカテゴリ・準絶滅危惧 

背面は、胸部を中心に赤銅色。上翅には、ゴツゴツしたコブが多数並んでおり、形態も色彩も美しい。

オサムシとしてはかなり小型の部類。明るい環境に好んで生息し、草原や牧草地、耕作地で見つかる。肉食性で、主に夜間地上を徘徊して他の小動物を襲う。分布域は広いが、どこも生息密度が薄く、一か所でさほど数多く見かけないものである。

開発行為にともなう草原環境の消失、あるいは草原環境が野焼きなど人為的な管理の放棄によって植生の遷移が進み、森林化することで、生息が脅かされる。

東日本のとある湿地帯には例外的に本種が多産するが、毎年春に全国から多数の虫マニアがここに押しかけて、本種を大量に持ち出している。今の所、それが同地における本種の存続に何か影響をなしているようには見えないが、今後の生息環境の変化の具合によっては懸念材料になるかもしれない。


※引用文献

亀澤洋(2015) セアカオサムシ。環境省編 レッドデータブック2014 5。ぎょうせい、東京。pp.388.

精霊の庵 - 無名の絶滅危惧昆虫

環境省レッドリストに掲載された、800種余りの絶滅危惧昆虫たち。そのうち過半数を占めるのは、小さくて地味で取るに足らない外見のハエ、ハチ、カメムシ、ガ、ハナクソサイズの甲虫など。図鑑にさえしばしば載らず、一般に存在も知られぬまま滅び行く、小さき者達の集う場所。