キバネキバナガミズギワゴミムシ
Armatocillenus aestuarii S.Ueno & Habu, 1955
オサムシ科
体長・4.5mm前後
分布・本州、四国、九州
環境省レッドカテゴリ・絶滅危惧Ⅱ類
頭部と胸部は、鈍い金属光沢をたたえた緑。上翅は黄色っぽく、そこに深緑色の斑紋が出るが、この模様の出方は個体変異が激しい。キバナガミズギワゴミムシ類の例に漏れず、サーベル状に突き出た鋭い大顎を持つ。
大型河川の河口域に広がる、砂泥質の干潟に生息する。干潮時にのみ活動し、地表を素早く駆けまわっては他の小動物を襲う。満潮時が近づくと、泥地の裂け目のほか、同じ環境に生息する小型のカニ、チゴガニの巣穴に逃げ込む。チゴガニは潮が満ちてくる前に、泥で自分の巣口を塞ぐ上、泥中に含まれるデトリタス(微細な有機物)しか餌にしない。キバネキバナガミズギワゴミムシにとっては、水没を免れる上にカニに襲われることもない、格好の避難場所となる。
満潮時のみならず、干潮時の活動中でも頻繁にチゴガニの巣穴を出入りする。ただし、地域によりチゴガニが高密度で営巣しているにもかかわらず、ほとんどこれを利用しているように思えない干潟もある。理由は不明。
生息地では、しばしば高密度で見出される。しかし、一見同じような環境の干潟が発達しているように見えても、この精霊が生息する河川としない河川とがある。また、同じ河川流域の干潟であっても、明らかに生息するエリアとそうでないエリアがあり、塩分濃度や砂の粒子の大きさなど複合的な要因により分布が制限されているように思える。
もともと生息範囲が限られているところに、干潟の埋め立てや護岸工事の追い打ちがかかり、各地で生息地が縮小しつつある。
※引用文献
後日追加。
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