ハラビロハンミョウ

Cicindela sumatrensis niponensis (Bates, 1883) 

オサムシ科 

体長・14mm前後 

分布・本州、九州、南西諸島(種子島)、中国大陸、インド、東南アジア 

環境省レッドカテゴリ・ 絶滅危惧Ⅱ類 

背面は全体的に赤銅色で鈍い光沢がある。上翅には特徴的な白紋を背負う。腹面は青緑色で、強い光沢を帯びる。鋭く突き出た大顎を持つハンミョウ類の中でも、体長の割に特に長めの大顎を持つ。

海浜性の甲虫で、砂浜に生息する。真水が砂浜に流れ込み、常に砂が湿っていることが生息に重要らしい。生息に要求する条件のうるささにより、自ずと生息地が局限される。成虫は温暖期には長く姿を見せ、砂上にいるハエなどの小昆虫を捕食する。行動は素早く、人の気配に敏感なため、観察には骨が折れる。

開発による砂浜海岸の消失、汚染物質の流入、浸食による砂浜自体の縮小など、様々な要因で生息環境は悪化し続けている。比較的珍しい種のため、(特に標本販売を目的とした)虫マニアによるみだりな採集も脅威。

鳥取県では、数少ない生息地の一つが付近に建設されたガソリンスタンド由来の排水で汚染され、壊滅している。


※引用文献

橋村正雄、丸山宗利 (2015) ハラビロハンミョウ。環境省編 レッドデータブック2014 5。ぎょうせい、東京。pp.216.

永幡嘉之、佐藤隆士 (2015) ハラビロハンミョウ。鳥取県編 レッドデータブックとっとり改訂版。鳥取県、鳥取。pp.99.



精霊の庵 - 無名の絶滅危惧昆虫

環境省レッドリストに掲載された、800種余りの絶滅危惧昆虫たち。そのうち過半数を占めるのは、小さくて地味で取るに足らない外見のハエ、ハチ、カメムシ、ガ、ハナクソサイズの甲虫など。図鑑にさえしばしば載らず、一般に存在も知られぬまま滅び行く、小さき者達の集う場所。